9GOATS BLACK OUT
ナインゴーツ・ブラックアウト
JaME インタビュー(日本語)
この記事は2008/3月に行われたJaMEインタビュー内容の日本語版です。
JaMEは日本の音楽情報を数多く取り扱っており、9GOATS BLACK OUTのインタビューも数カ国語に翻訳され掲載されています。
その趣旨が海外へ向けたものなので日本のリスナーのために日本語版のインタビュー内容の掲載許可をいただき公開させていただきました。
各国のインタビュー記事はJaME本サイトよりご覧ください。
http://www.jame-world.com/
9GOATS BLACK OUT interview (2008.3.20)Q:自己紹介をお願いします。
ryo: 9GOATS BLACK OUTのヴォーカルをやっていますryoです。
utA:はい。ギターのutAです。
hati:ベースのhatiです。宜しくお願いします。Q: Your name, 9GOATS BLACK OUT, is very interesting. How did you come up with this name?
9GOATS BLACK OUTというバンド名は大変興味深いのですが、なぜこのバンド名を思いついたのですか?ryo:バンドを作る前に、僕が9GOATS BLACK OUTっていう複数の単語で組み合わされた、活動ネームをいつか使おうと思って持っていたんですね。それで、この3人が集まって、音楽を一緒に製作して活動していこうってなった時に、当然、冠になる名前が必要になってきて、その時に「こういうの、ちょっと使おうと思っているんだけど。」って二人に話したら「それで行こう。」ってなったんです。
Q:それは何時頃から考えられたんですか?
ryo:名前自体は、僕が今9GOATS BLACK OUTっていう、外に向かっている’output’という音楽活動の名前と、9GOATS BLACK ARTっていうデザイン業で使っている二つの名前があって、それはもうこのメンバーが一緒になる前から、僕が一人で音楽をしばらく止めていたときにはもう名前だけはあったんです。
Q:GOATSにこだわられたのはなぜですか?また、数字の9は?
ryo:元々は複数いろいろ意味合いがあるのと、僕が歌詞を書くときにもそうなんですけど、あんまり単語そのものに深い意味合いがあるものじゃなくて、誰もがさっと思い浮かべて、何か直結する意味合いがあるものの、掛け合わせで生まれてくる、副題みたいなものに凄く興味があったんです。日本人にとっては、9もGOATSもBLACKもOUTも凄く簡単なワードで構成されていて、それを見たときのニュアンスがとても深そうな感じがあるっていうのと、後はそれぞれに解釈が出来るっていうことで、この単語を選んでいます。まあ、全部がダブルミーングなんですよ。僕は山羊座生まれだったり、そういうのもあっていろいろたくさんある語彙の中から、自分の気に入ったものを取り出していって、例えば、BLACK OUTだったら、「意識酩酊」っていう意味合いが生まれてきたりとか、そういうものの組み合わせで、このワードを気に入っていたんですね。二人もさらに気に入っちゃって。
Q: これは良いぞ、って?
utA&hati:はい。(笑)
Q: Does the band have a specific concept?
バンドのコンセプトは何か特別にありますか?hati: コンセプトはもう単純に、「心に響く」っていうのを元にやっています。国とかが違っても伝わるものは一緒かな、と。
Q: それは、「音に乗せて」っていう意味と、「歌詞に乗せて」っていう意味と、両方の意味ですか?「人の心を掴みたい」っていうことですか?
ryo:僕の個人的な解釈ですが、複合芸術だと思うんですよ。音楽そのものでも成り立つし、文章や詩そのものでも芸術として成り立つんですけど、それが組み合わされて、意図したもの以上の効果が得られるもの、僕らにとってそれが一番添う表現媒体だったのがバンドだった、っていう流れのまま、っていう感じです。
Q: hati and utA, there is very limited information available about you online. Could you tell us a little about how you got involved with ryo and how you decided to start a band together?
hatiさんとutAさんに関しまして、得られる情報が限られているのですが、ryoさんとはどのようにお知り合いになり、どのようにしてバンドを組まれる事になったのでしょう?utA: ヴォーカルの前のバンドのGULLETが終って、僕ら地元が一緒で、新潟なんですよ。
Q:新潟県なんですか?名古屋系かと思っていました。
hati:いや、全員生粋の新潟人です(笑)
Q: じゃあ、新潟で活動をされていたんですか?
hati:もともと知っていて、そのときはGalrudaっていうバンドの時期とかぶっていて。一回対バンして、その時はまあ挨拶する程度だったんですけど、本当に深く話をするきっかけになったのは前の自分達のバンドで、ジャケットのデザインをryoさんに依頼した時なんです。
ryo:あ、そうだったっけ?
hati: ryoさんがジャケットとかアートワークをしている事は前から知っていて、それがすごくかっこいいと思っていたんで今度ぜひ自分たちのジャケットのデザインをお願いします!っていうのが、話すようになったきっかけですね。その時は、バンド一緒にやろう、っていう気も全然なくって。その後その時の自分達のバンドが解散して、「東京に行ってバンドやります」って二人で東京に行って。
Q:東京に出てきたのは、お二人が先なんですか?
utA:そうですね。出てきたのは二人で。ただ東京に来たのはいいものの、「この人と一緒に音を作りたい。自分たちの曲を歌って欲しい」っていうヴォーカルが見つからなくって。そんな中でryoさんの事が頭に浮かんで。もともとryoさんの歌詞とか声とか自分たちの理想ではあったので。
hati:最初はフラレてね〜。(笑)
ryo:「自分はバンドはやらないから」ってこだわっていたんです。(笑)
hati:「バンドをやらない」っていうまず根底がそこにあって。(笑)
ryo:彼ら以外にもいろいろお話を頂いていて、どれも魅力的だし、凄く有難いお話しも多かったんですけど、自分がどうしてもやりたいものに合致しないと、やらないっていう。だからもう「バンドは自分はしたくないから」って言っていたんですけど、それ以外のつながりもちょいちょいあって、彼らの曲を聴く機会があったりとか、音楽に対する話しをいろいろ交わすようになったときに、自分のプライベートの考え方の分岐になった時とちょうどタイミングが合って、「この二人と一緒に描く未来が、俺の中では凄く大きなポジションになっているのかもしれないな」って感じてからは、結果どういうふうに転がっていくかはわからないけど、一緒にちょっと何か作ってみようか、っていう取っ掛かりをはじめたのが、バンドを組むきっかけですね。
Q: Had the three of you played music together before?
以前に3人で一緒に演奏された事はありますか?ryo:今は一緒にやってますけど、以前は一切無かったです。
Q: Was it difficult or easy to get used to each other at in the beginning?
最初に一緒に演奏されて困難はありませんでしたか?ryo:問題しか無かったです。(一同爆笑)
hati:スタジオに入るのも遅かったんですよ。メンバーの中でドラマーがいなくって。曲作りっていう製作作業はずっと入っていたんですけど、結局それをスタジオで形にして、っていうのは物凄く遅くって。(笑)
Q: ryo, it’s been a while since you were active in the music scene but now you're back stronger than ever. How has it been coming back and how has hati and utA affected your style of music?
ryoさんは以前音楽シーンで活躍され、今また強力になって戻ってこられたのですが、再び活動をされて如何ですか?あなたの音楽スタイルは、hatiさんとutAさんに影響されましたか?ryo:強力になったかどうかは、自分ではわからないんですけど、そもそも音楽の活動をする僕のスタンスが「憧れ」と「音楽を作って人の心を動かす」っていう、数字じゃない何かこう「自分の作り出した物によって相手の人生まで変える力がある」っていうものが凄く大きくって。僕はそれに触発されて音楽を始めたんで、それに立ち返って音楽を作る環境に戻ってきたのは、大変ですけど幸せですね。
Q: ryoさんは、お二人からの影響ってありますか?
ryo:このバンドになって、かなり自分の意見を通させてもらっているんですよ。俺が「こういうことをやりたいから、こういうふうにしないか?」ってまず提案をして、で、9割くらいは意見を飲んでチャレンジしてくれるんですよ。それが結果、現段階の僕らの音楽になっています。そもそも技術力とか音楽的な素養そのものを見て彼らって決めたわけじゃなくって、音楽に対する取り組み方とか姿勢の面をまず最重要視したので、彼らの取ってくれているスタンスは音楽のスタイルに凄く影響を及ぼしています。音楽の趣味とかそういうところとはまた違うベクトルで、自分の発信しようとするものに対する彼らのスタンスが、今僕らの音楽のスタイルを作るのに凄く重要なものになっているはずです。
Q: ryoさんからの無理な注文っていうのはないんですか?
hati:ないですね。逆にうちらは、僕らが知らなかった事が凄く多いから、「ああ、それいいね、やってみよう」っていう感じでやってみて、今は結果が良い方向にまわっているから、それが音にも出てると思いますし。
Q: ryo, 9GOATS BLACK OUT is quite different from the type of music you used to make in your former bands. How did this happen and was there something particular that influenced this change of style?
ryoさん、9GOATS BLACK OUTは、以前のバンドでされていたタイプの音楽とはかなり違っていますが、どうしてこのようになったのでしょう?何かスタイルの変化に影響したものがありましたか?ryo: 二つ理由があります。まずひとつは、僕が以前やっていたGULLETってバンドの頃の聴いていた音楽と、この9GOATS BLACK OUTの音楽活動を始めるまでの空白の2年半とか3年間の中で、僕の聴く音楽の趣味とか表現したい音楽のポイントが凄く変わって、それは90年代のエレクトロニカや、イージーリスニングなものに変わったこと。いわゆるビートが早くてサウンドはヘビーでというオーディエンスを鼓舞させる音楽とはまた違うところに僕の興味が凄く強くなったので、「それを自分の声と自分の音楽のスキルで体現したらどうなるのかな」って思った変化がまずひとつ。それとGULLETやGalrudaと、現在のこの9GOATS BLACK OUTの音楽に対する製作のスタイルがそもそも違うっていう。GULLETのときは5人5様それぞれの個性があって、その個性を殺さずいかに中間地点を見つけるかっていう形で音楽を作っていたので、個性が集まった混合色がひとつのバンドのスタイルになっていたんですけど、現時点での9GOATS BLACK OUTは、「あくまでもこういう音楽を形にしたい、産み出していきたい」っていったものに対して、僕が舵をとりながら二人が一生懸命漕いでくれて、3人でまたそれをもんで完成形に落とし込んでいく、っていう。製作のプロセスが全く違うんで、結果受け手側に届いた音楽の質感が全然違うものになっているんだと思います。
Q: [devils in bedside] sold out weeks before its official release date. Did you expect this huge demand and how did you react when all copies were sold out?
devils in bedside はオフィシャルリリースの数週間前にソールドアウトでしたが、このことは予想されましたか?また、ソールドアウトになったとき、どう感じられましたか?All:ビックリしましたね。(笑)
hati: 嬉しかったです。
Q:予想してなかったんですか?
hati:してなかったですね。宣伝も何もしてなかったし、ウェブサイトのみで。
Q:それだけ、皆さん待ってたいんじゃないでしょうか。
ryo:それも読めなかったんです。全く課外活動もしていなかったんで。セッションに呼ばれて遊びで1年に1回という程度以外には音楽シーンから全く身を引いていたんで。今、CD売れないじゃないですか、全世界的にみて。ネットワークで楽曲が手に入って、その事自体はいいと思うんですけど、そこにクリエーター側に金銭が戻ってこないこの現状をやっぱりいろいろ聞くわけですよ。そうすると僕らのように全くシーンのどこにもいなかった人間がいきなり「こんなCDを作りました」って言って、いきなり流通してもどれだけプレスしたらいいかもわからなくって。「恐らくよくて300枚くらいが捌ければいいだろう」みたいな話をしてて。(笑)あとは、「いろんな関係者などに聴いて貰うためにサンプル盤も含め1,000枚プレスしたら十分だろう」と、そうしたら初日で500の注文が来て、10日で1,000を超えてしまって。
Q:凄い事ですよね。今の時代に。
ryo:有難いですね。
Q:試聴か何かされたんですか?
ryo:オフィシャルで3曲のプレビューだけはしたんです。
hati:やっぱり注文のところの備考欄に「試聴を聴いてよかった」って書いてあったのが、一番嬉しかったです。
Q:その3曲って何の曲ですか?
hati:1曲目の[sink]と4曲目の[Den lille Havfrue]と3曲目の[夜想 -nocturne-]ですね。
Q: Did you do anything special to celebrate this occasion?
この際、何か特別なお祝いをされましたか?hati: タイ料理で祝いました。(笑)
Q: Your music is very melancholic and gloomy, what is your inspiration for your creations?
あなた方の音楽は、もの悲しく暗い感じがしますが、製作されるにあたりまして、何にインスピレーションを受けますか?hati: 全部ですね。日常生活もそうだし、そのときに聴いた音楽とかそのときの感情とか。ただ大体原曲を持ってくるのはutAなんですけど、それを意図的に悲しいとか暗いっていうアレンジにしようとは考えてないですね。
Q:utAさんはどんな形のところまで作って、渡しているんですか?
utA:ドラムとベースも入れて渡す時もあれば、ギターとリズムだけで渡したり、日々ある自分の中の感じを出すんですけど
Q:それがGloomyな感じに聴こえるんでしょうね。
utA:そうですね。もともと持っているものがそうなんでしょうね。
Q: 作曲のインスピレーションはいつでも沸いてくるものなんですか?
utA:やろうと思ってやっても出ないんで、ふっと出た時にやりますね。今は否だけどとりあえず1フレーズだけ入れて、そこから次に出来る事もあります。
Q:そこにメロディーや詩をのせるわけですが、曲を聴いて、そこからインスピレーションを得るわけですか?
ryo: 僕はまず二人がデモの段階で軽い仮Recをして、イントロからAメロディーの作曲という従来の説を無視して、メロディーを考えるんです。Bメロに該当するところが、間奏になったりとかけっこう無視して、メロディーが浮かんだところに、自分の感情がどう動くかによってメロディーをつけて。大体出来上がると、もの悲しく自然になっていますね。狙って悲しくしようとか、マイナーなスケールで、っていう進行じゃなくって、気持ちがふっと「ここにこういうものを置きたい」とか、「こういうふうに進行していきたい」って作っていくと、なぜか自然に悲しくなりますね。インスピレーションは、映像が浮かびます。曲に対して、例えばこの曲は「夜の海」だとか、「深い森」だとか。なんとなく音のイメージから来る、空気感を感じていて、そこでメロディーを作って。そうするとそこで曲とメロディーがうまく合うと、自然に歌詞が「こういうふうに行きたい」って、うまく出てくるんで。特にどこか全く別のどこかにインスピレーションを感じて、そこから無理やり引っ張ってくる形はほとんどないです。
Q:普段から言葉のストックがあるとか、そういうことでもないんですか?
ryo:僕は歌詞のためのメモを取らないんで、ストック全くしないです。
Q:さっき曲作りのところでも言われましたけど、従来の作曲の定番には全然当てはまらないですよね。
ryo:今までは僕がやってきたバンドではジャムセッションしながら作ってたんです。まずギタリストやベーシストやらの原曲者がコードを弾いたり、「この1フレーズ」というような曲を弾いて、そこに対してテンポとリズムフレーズを決めて、大体の楽曲の1コーラスが出来上がるころに、自分の中でメロが出来上がっているんです。それを歌いながら調整していって、大体曲の1コーラスが出来上がると、その後に曲の構成や細かい音作り、それぞれの歌詞を書いたりとかっていうふうにして、最終的にこの曲はこれくらいな感じで"決"でしょう、っていう感じで曲作りをしていたんです。でも今はまず原曲のデモを作って、そこに対して僕が歌を乗せ、それからリズムを変えコードを変えて、アレンジして、「この曲はこの形でアウトプットできる形にまでもって行きましょう」っていう所まできて、歌詞を書き、ストーリーをきっちり削り取ってタイトリングしてこの曲はアップ、というそういうふうにしています。
Q: While listening to devils in bedside, it seems that you put a lot of extra care in creating a special atmosphere, as if each song is a little world that pulls you in. Did you plan beforehand to make the atmosphere so intense, is it something that fits with your concept or was this gradually developed while working on it?
devils in bedsideを聴くと、それぞれの歌が引き込まれるような世界を持っていて、特別な雰囲気を作り出す事にとても気を遣われているように見受けられます。あらかじめそのような、張り詰めたような雰囲気を作られ、それがあなたのコンセプトにあったのですか?それとも作業を進めるうちに徐々に出来上がってきたのですか?hati:最初は苦労しましたね。「9GOATS BLACK OUTっていうバンドの音はどこなんだろう?」って。大体のものは見えているんですけど、この3人で作ったときに"これだ!"っていうものがなかなか決まらなくて、最初の1歩が、凄い時間がかかっちゃって。
Q:このアルバムで、一番最初に出来上がった曲って、どれなんですか?
hati:[夜想 -nocturne-]ですね。
Q:あ、そうなんですか。じゃ、一番苦労したというか、なかなか決まらなかった曲は何ですか?
hati:[ 690min] かなぁ?(笑) [ 690min]は、俺とutAの中ではボツ曲だったんですけど(笑)、メロディーと歌詞が入って、それならリズムも少しダンスビートっぽくしようって。結果「9GOATS BLACK OUTの音になった」って言う曲です。
Q:このアルバムの曲順を並べたりするのって、すんなり決まりましたか?
ryo:最終的に[sink]と[float]を入れ替えました。この曲が、この作品のメインテーマの対になっているんです。「日が昇って、沈んでいく」のか「沈み込んで浮かびあがる」のかテーマをどっちにするかで、ミックスし終わるまで迷いましたが、それ以外は僕がそういう形のストーリーの進行にしたいっていうのにみんな賛成してくれたんで、その頭の曲と最後の曲を迷ったくらいですね。
Q: Every song on your album is original and creative and you obviously put a lot of thought and work into the songs. How did you create the album?
アルバムの全ての歌は、オリジナルで独創的で、明らかに多くの思想と労力を曲の中に注ぎこんでおられます。(具体的に)どのようにアルバムを作られましたか?ryo:これは結果的になんですけど、ドラマーが不在だったので、バンドを結成して音楽を作るっていう作業はずっとしていたんですけど、それをいつ告知するかをずっと悩んでいたんです。ドラマーを見つけて、ライブで活動できるところまで待つか、どうするかっていうところで。ずっとドラマーが決まらないかもしれない、それならば先に音源を作って、自分達の楽曲を形にしてしまいましょうっていうことで始めたんです。なので、自分達でレコーディングの環境をネットでサーバーを共有して、やり取りして作っていきました。
Q:そういう作り方をしたんですか。
ryo:最初はレコを始められる環境が全員のところに無かったんですよ。まず音源を作りましょうという話になってから機材的に設備を整えていかなくちゃいけないので、マッキントッシュを買いprotoolsを導入して覚えて、共有のサーバーを借りて楽曲をやり取りして、そのまま最終的なレコーディングの環境まで持っていきました。
Q: Your lyrics are deep and meaningful, but for those who don't understand Japanese, what are your lyrics about?
あなたの歌詞は深く意味深長なのですが、日本語がわからない人達のために、何についての歌詞なのか語っていただけますか?ryo:このアルバムの歌詞は、僕の父とutAの父が二人とも病気だということがあって、僕の父が食道癌、彼の父が膵臓癌で、レコーディングして楽曲をまとめている最中に僕の父は大手術をして、彼の父は他界されたんですよ。それについての歌詞がメインです。[sink]なんかは、まさに父に対して歌ってますし[690min]のタイトルは僕の父の手術室に入って戻ってくるまでの時間なんです。それぞれ楽曲そのものには個別のストーリーがあるので、6話の短編集が一つのブックに入っているっていう感覚で僕は書いています。なので全てが確実に直結していない部分が若干あるんですね。だけど「この作品をどんな作品にしたかったんですか?」って言われた場合は「大事な人を失って、その主人公がどういうふうな心情で、何を思って、何について悲しんで、且つ、その後どうしていこうと誓ったのか」っていうのを歌にしています。「病室で患者の末期にずっと死を待つ死神的なイメージ」がずっとあったんで、枕元に悪魔がいて「気ををつけろ、そいつは自分の大切な人をさらっていくぞ」っていうニュアンスを込めて[devils in bedsides]っていうタイトルにしたんです。
Q:じゃぁ、実話が入っているんですね。
ryo:歌詞に関して、僕は実体験しか書かないです。全部をオブラートに包んだり、違う意味合いで捉えられたりするように意図的に変えたり、何かしらフィルターは噛ませていますけど、基本はあくまで実話です。
Q:テーマが重いですよね。人間の死って。一番大切な人との別れとか。
ryo:もともと僕は、このバンドの以前からも、「人の感情がどう動くか」が凄くテーマなので、ラブソングにしてもポップソングにしても、楽曲そのものがどうとか、リリースしてセールスがどうとかよりも、表現したい音楽とか歌詞とかによって、受けて側の感情がどう動くかが、僕の中では一番重要なんですよ。そこで、創作する部分もひとつの手法だと思うんですけど、やっぱり何かしら自分の中でこう、体感とか実感したものじゃないとちょっとリアルじゃないんで。若干フィクションを入れたり、想像したりの部分も入ってきますけどテーマとしては全部自分の身の回りの事しか書かないですね。
Q: Are you wishing to entertain the listeners with your music only, or do they carry some sort of message that you want to transmit to all the listeners?
リスナーに対し、音楽のみで楽しませたいですか?それともリスナー全てに伝えたいメッセージのようなものがありますか?ryo:音楽のみで聴いてもらってもいいし、「こんなにテーマを組み込んでいるんですよ」っていって、それを読み取ってもらってもいいんですけど、両方ですね。音楽のみで楽しみたい人は、音楽のみで楽しんでもらえるように作っていますし、「何故この音楽が出来上がったのか」って紐解いて楽しんくれる人には、それに耐えうるだけのものを作っているつもりでやっています。
Q:大切な人との別れっていうのは、人によってはまたまた違うかもしれないじゃないですか。家族だったり、恋人だったり、友人だったり。そんな事を思い浮かべながら、聴いているんじゃないかなぁ〜って思いますね。
ryo:4曲目なんかは、ラブソングとして捉えられるような書き方をしています。僕らのように肉親が病気になってしまったり、死別してしまったりっていう体験が無いリスナーにも、恋人だったり、兄弟であったり、友人だったり、大切な人がいると思うので、誰にとっても共感できる書き方にはしています。
Q: You chose Danish for the fourth song on your album, Den lille Havfrue. Why did you choose Danish and does this song refer to the Mermaid statue in Denmark and its fairy tale, or does it have another meaning?
アルバムの4曲目[Den lille Havfrue]では、デンマーク語を選択されましたが、なぜデンマーク語を選ばれたのですか?この曲は、デンマークのマーメイド像やその童話に関係していますか?それとも他の意味があるのですか?ryo:凄く関係していますね。(笑)4曲目はもともと歌詞を書いている時に、「夜の海」と「星空」っていうものと「大切な人を亡くしてしまった」「もう二度と会えないという事実」という悲しさのイメージがまずあって。メロディーと歌詞を書いて、歌詞のディテールを細かく突き詰めていったときに、童話で「人魚姫の末路に凄く似ているなぁ」って思い出して。もともとこのデンマーク語のタイトル自体は知らなかったんですけど、「人魚姫」っていう日本的なタイトルにしてしまうと、どうしても狭義な映像が出てきちゃうのでそうじゃなくて、その物語に含まれているテーマとかとても悲しい話の末路を伝えるためにどうしたらいいかな、っていろいろ調べたときに原題を見つけて「ああ、これはぴったりだ」と思って付けさせてもらいました。なので、マーメイド像はめちゃめちゃ関係していますね。
Q: Are you generally interested in Scandinavian countries? If so, why?
スカンジナビアの国々に興味がありますか?もしそうなら、それはなぜですか?ryo:スカンジナビアの国々に関する詳しい知識は無いんですけど、僕ら日本人が持っている北欧のイメージは凄く好きです。なんとなく新潟もそうなんで。(笑)
Q:新潟は日本のスカンジナビアですか?(笑)
ryo:(新潟は)北側にあって、冬の海が寒くって。(笑)そういうところで、結構共感できるところがありますよね。それと昔ゴート族(Goth=ゲルマン系の一部族。原住地はスウェーデン南部。)というGothの語源になったゴート族がスカンジナビア半島にいたらしい、と。僕らのバンド名も、日本語の読みだとGOATS(ゴート)でかぶっているんで、面白いなぁ〜って思って興味があります。コペンハーゲンなどは観光で行ってみたいですね。
Q: ryo, you do not only make music, but you're also a designer. Can you tell us about what you design and where you get your ideas from, especially for devils in bedside's album cover. What are your influences?
ryoさんは音楽を作られるのみではなく、デザイナーでもいらっしゃいます。何をデザインしていらっしゃいますか?また、特にdevils in bedsideのアルバムジャケットなど、どこからアイデアを得られ、何に影響をされますか?ryo:僕は歌詞を書くとき、メロディーを書くときは、全部映像でイメージが出てくるので、アルバムのジャケットデザインとか、歌詞の装丁のデザインとかをするときは、必ず音楽が何を歌っているか、語っているかを理解しないと作れないです。だからアイデア自体は、そのデザインをする元のテーマがアイデアになっています。それをどう表現するかの表現手段で、例えば映画であったり、書物であったり、様々な他分野の芸術に影響される事はあります。
Q:この[devils in bedsides]のアルバムジャケットはどこから来たんですか?
ryo:表紙の写真自体は、デモを作っているときにこの写真をウェブサイトで公開されている方がいたんですよ。で、コピーライトがフリーだったんで、メンバーのCD-Rをやく時に使ったら凄く評判が良かったんでそのまま使ったのと、あと1作目だったので、9GOATSのGOATに引っ掛けて。あとは背景の絵だったり今回の流通版の中刷りなんかは、テーマ的に沿うものにしています。
Q:お写真をデザインされるんですね。
ryo:それもありますけど、今回のCD以外のデザインは、自分でイラストを描いたりもします。GULLETのときは自分でイラストを描いて、それをスキャンニングして、パソコン上で組み込んでいってっていう作業をしました。
Q:じゃぁ、9GOATS BLACK OUT以外にもお仕事を引き受けられる時は、よく音楽を聴いて、そのイメージからデザインされるわけですね。
ryo:そうですね。CDジャケットなんかはどんな曲をやっているのか、どういう作品にしたいのかは聞かないと良いものが出来ないですね。CD以外のものに関しては、何をしたいのかをまず聞きます。
Q: Why did you decide to start your own label (dalli) as opposed to joining an existing one? What are the pros and cons of having your own label?
既に存在するレーベルに参加するのではなく、独自のレーベル(dalli)を設立する事を決心されたのはなぜですか?独自のレーベルと持つ事の利点と欠点は何ですか?ryo:僕らの音楽が、「大衆に凄く即効性のある音楽じゃないな」っていうのはちょっと思っていて、当然オーディエンス・リスナーがいてそこに売り上げがあってバンドの運営費にまわって、っていうのを経験しているので、そこらへんもやっぱり考えるんですけど、より多くの人間に携わってもらって、多くの人間に広く浅く聴いてもらえる現状がまず先にあったとしたら、「9GOATS BLACK OUTっていう音楽をしっかりと組み上げる前に自分たちが疲弊してしまう」っていう懸念があったのと「こういう音楽を作りたい!」っていう目的意識が確立される前に、消費されてしまうのが怖かったんで自分達だけで何とかやれないもんだろうか、って自主レーベルを作ったんです。でもどうしても自分達では出来ない部分はあるので、荒川さん(zoisite)のところに相談しに行って、「僕らは出来るだけ自分達でやるんですけど、出来ないことはすいません、お手伝いお願いします」(笑)っていうのが現状の形になっています。凄く助かっていますし、荒川さんがいなかったらこの場も持てなかったですし。
Q:荒川さんからご紹介していただいて、音を聴いて、凄く良かったんですよ。すぐにJaMEのスタッフに「凄くいいバンドがいるんだけど」って知らせたんですけど、そうしたらもうスタッフも知ってましたね。インターネットがあるから早いですね〜。
ryo:へぇ〜〜〜〜。ありがとうございます。そういえばちゃんと自分達の信じられる音楽をやっていれば、この時代はメディアを介さなくても、本当に欲している人に届くんじゃないかなって思ったのも、自主レーベルを動かそうと決断した決定打ですね。オーディエンスの嗅覚を信じてみようって。
Q: You recently got a MySpace account. Do you feel like it’s easier to get in touch with your fans through this and was that the purpose when you made an account?
あなたは最近、MySpaceを開設されました。これを通じて、ファンと触れ合う事がより容易になったと感じられますか?また、開設された目的はそういう事でしょうか?ryo:僕ら、あんまり触れ合う事は得意じゃないです(笑)僕らは出版広告を出したりとか、チラシを巻いたり、メディアに露出するアプローチをあまり持っていないので、僕らが気軽にできるやり方のひとつとしてのMySpaceは登録しました。登録してから、だいぶ放置されていたんですけど(笑)、やっと最近うまくオフィシャルになりました。
Q:放置されていた、っていうのは?
hati:自分が登録したんですけど、使い方とかよくわからなくって。(笑)
Q:でもすごいじゃないですか。日々のアクセスの増加が。
hati:ああ、ありがたいですね。僕らからメッセージを送ったり、触れ合いとかはこっちからはまだ無いんですけど、でもやっぱり日本からだけじゃなくって、海外の方からMySpaceを通じて「聴いて良かったです」とかメッセージを頂いて、凄くバンドの励みになります。日本じゃなくて、多分歌詞とかも伝わっていない部分も多いんだろうけど、音楽だけで「良かった」って言ってもらえるのってありがたいな〜って。
Q:それこそ、人の心を動かす、感動させる、っていうのが、国境を越えてダイレクトに伝わってくるじゃないですか。
hati : だからちょっと迷ったときとかは、励みになっていますね。
Q: It hasn't been very long since you started the band, but already a lot of interest has been shown into you from overseas fans. Were you aware of this and how do you feel about it?
バンドを始められてあまり日がたっていませんが、海外の多くのファンの方が、既にあなた方に興味を持っています。このことを意識されていますか?また、どう感じていますか?utA:もちろん意識していますし、嬉しいです。まずは日本からですけど、日本のライブ活動をして廻って、自分で行けるようになったら、海外にも行って、直接伝えたいですね。
Q:CDのあの音の世界が、どうやってステージで再現されるのか、物凄く楽しみなんですけど。
utA:その期待に沿えるように、今、頑張っています。
Q:ライブだとまた違うかも知れないですよね。
ryo:そうですね。空気感はやっぱり若干ニュアンスが変わってくると思いますし、それを否定しないで、ちょっと敢て変えてやってみる曲も生まれてきますね、きっと。
hati:嬉しいし、もっと聴いてほしいです。
Q:海外から、かなり反響があると予想していましたか?
hati:ここまでとは思わなかったですね。多少は多分GULLETを知っていた人が覗いていて、GULLETから聴く人が多少あるかなぁ〜って思いましたけど。海外からの発注もありましたし、やっぱり「試聴を聴いて、買います」っていう言葉が一番嬉しかったですね。「音だけでわかってもらえるんだな」って。
ryo:海外のことは少し考えてました。以前やっていたバンドも台湾からライブに来てくれたりするお客の方などがいらっしゃったんで、わりと近いアジア圏の方にはアピールしやすいのかな、って思っていたんですけど、今回みたいに北欧の方とか、アメリカも今回ちょっとリアクションがあって。たまたまこういうご時勢だから、ヴィジュアルロック的に、ちょっとムーヴィメントみたいなものがあるだけなのかなぁ〜とも思いますけど、それがずっと残るような作品が作れたらなって。今のこの状況が凄くありがたいし、嬉しいなって感じています。
Q:音自体は、ヴィジュアル系っぽくないじゃないですか。
ryo:あんまり何も考えてないんですよ。シーンのどこに属そうとかレコード会社がどうとかも。
Q:逆に決めないほうが良いんじゃないですか。レコード会社に所属すると、きっちりここまでに作りなさい、って商品みたいになっちゃうじゃないですか。
ryo:アーティストってよく他と差別化を図りたがるじゃないですか。僕も昔そうでした。「他でこれをやっているから、じゃあ違う事をやろう」とか。自分達が他と違うオリジナルのキャラクターでありたいっていう思想に、逆に首が絞まるっていうことがあるんです。今は好き勝手にやったら自然と自分達らしいものが出来そうな感じがしてるんで「ライブをしなければいけない」とか「リリースの頻度がこれくらいじゃなければ」とか、そういうものを一回完全に取り払っちゃって、自分達が出来る範囲で、自分達のペースで音楽をやっていけたらいいなって、そういう話しをしています。
Q:ルックスもヴィジュアル系っぽくないところがあるし、ジャンルがヴィジュアル系っていう感じでもないですよね。
ryo:今回の作品に関しては完全に、メンバーがこういう衣装を着てこういうメイクをしてこういうステージをやります、っていう提示をしないで、音だけとにかく出しているんで。この曲達を聴いてどう思うかそれに対してのリアクションって、やってみないとわからないから「もうやりたい事をやろう」って言って出しているんで、何の意識もないですね。
Q: Can you tell us something about the future of 9GOATS BLACK OUT? What can fans expect?
9GOATS BLACK OUTの、今後の予定を聞かせてください。ryo:出来ればドラムを入れて、ライブ活動をしたいです。まだ未定なんですけど、2008年中にもうひとつ作品を作り上げたい、っていう希望はあります。でも自分達はここまでに作るっていう予定を立てて作ったわけじゃなくて、納得いって出来上がったそこが終了だったんで、約束は出来ないんですけど、出来れば年内中に新しい作品を出したい気持ちはあります。
Q:最後にJaMEの読者にメッセージをお願いします。
ryo:9GOATS BLACK OUTは既存のバンドとか、以前の僕がやっていた音楽のフォーマットとは、またちょっと違う活動の形態を考えてやっています。それはまだ模索中なので「何時までに新しい音源が」とか「いつ頃にライブをやって」っていうようなJaMEの読者の方々の目にいつまでに触れるかっていう約束は出来ないんで、今後ちょっとやきもきさせる事が多いかも知れませんが、出来る限り自分達を信じながらやっていこうと思いますので、温かく待っていてください。
utA:コンセプトである「心に響くもの」というのを原点に作っていきます。海外は言葉の壁があるんですけど、そこを超えて、僕らの音楽を聴いて、すぐにイメージが出てくるような、心にずっと残っていくものを作って、世界の人々に聴いてもらえるように頑張りますので、これからもどうぞ宜しくお願いします。
hati:音だけじゃなくて、ジャケットも全部リンクして作っているので、やっぱり音と同時に外見のジャケットとか、視覚的な部分も見て、いろいろ感じてほしいな、って思いますし、そういうものを作っていきたいと思いますので、宜しくお願いします。
thanks for Ms.Takeuchi. Sanaka. JaME